繊細な紋様が美しい江戸切子（えどきりこ）。東京の伝統工芸品として登録される昔ながらのガラス細工は、今でもとても人気がありますね。また、ペアグラスは贈答品としてもおすすめです。しっぽりと飲みたい晩酌のお供に、きれいなグラスを片手にお酒を楽しむのはいかがでしょうか。そこで今回は、江戸切子の魅力や特徴、伝統的な紋様をおすすめの江戸切子グラスとあわせてご紹介いたします。
切子とは
切子（きりこ）はガラスの表面に模様を掘り込んで装飾する技法、またはこれを施したガラス細工のことを指します。カットグラスの和名にあたります。日本を代表する切子としては「江戸切子」「薩摩切子」の二つが有名ですね。
繊細なカットと美しい紋様が魅力
江戸切子は、江戸時代に生まれたガラス細工(カットガラス)で、100年以上の歴史を有する伝統工芸品です。透明感のある繊細な美しさが魅力で、昔から庶民に親しまれ日常的に使われてきました。
さまざまな切子グラスがありますが、「江戸切子」として販売されるものは、江戸切子協同組合より認定を受け、ガラス職人による手作りで、江東区を中心とした関東一円で作られた日本製に限られます。
当時の生活に身近なものや花鳥風月をモチーフにデザインされた紋様が多く、薄いガラスに明快で繊細な線が掘り込まれているのが江戸切子の特徴です。
おすすめ江戸切子グラス
江戸切子の紋様は数多くありますが、今回は代表的な紋様をピックアップしてご紹介いたします。
矢来紋(やらいもん)
竹や丸太を組んだ囲いのことを「矢来」と呼び、それをモチーフにカットした紋様。シンプルで素朴な紋様で、外敵を防ぐ意味から魔除けや厄除けとしての思いが込められています。
魚子紋(ななこもん)
魚子紋(ななこもん)は、細やかな菱形文様が魚の卵のように連なって見える文様です。子孫繁栄の願いも込められた、江戸切子の基本的な文様の一つで、織物や金加工品にも使われます。凹凸のある立体的な文様が光を屈折させ、絶妙な陰影を生み出します。
菊繋ぎ紋(きくつなぎもん)
非常に細かな線が交差し、菊の花が連なる紋様で、古くから延寿の力があるとされる菊の花がモチーフの縁起の良い伝統的な紋様の一つです。不老長寿や喜びを繋ぐ意味で使われます。
菊籠目紋(きくかごめもん)
繊細な線を交差させた「菊繋ぎ」と、籠の網目や格子状の模様を立体的にカットした「籠目」を組み合わせた紋様です。職人の繊細な技術が光る伝統的な紋様です。
七宝紋(しっぽうもん)
4つの長楕円形で一つの円を描き、その円が組み合わさって永遠に繋がっていく紋様。七つの宝物を意味する仏教用語が由来で、「七珍」とも呼ばれます。縁や円満、子孫の繁栄を表す縁起の良い紋様で、きものや和食器にもよく使われる吉祥文様です。
六角籠目紋(ろっかくかごめもん)
六角形にカットされた籠目の紋様で、古来より魔よけとしても使われ、また六芒星の形にもみえることからとても縁起の良い紋様です。
八角籠目紋(はっかくかごめもん)
編み目が八角形にカットされた籠目の紋様。古来より魔除けの意味でも使われる籠目模様で、繊細なカットが光を美しく反射します。
麻の葉紋(あさのはもん)
家紋や着物など様々な場面でも使われる麻の葉を連ねた紋様で、魔除けや子供が健やかに育つように願いを込めて使われます。細やかなカットが施された素朴で味のある定番の紋様です。
あとがき
ピックアップした紋様のほかにも、底菊、蜘蛛の巣、市松など様々な紋様にカットした江戸切子があります。また、2つの紋様を組み合わせたタイプやいろんな美しい色合いの切子が多数あるので、好みやシーンに合わせて選べ、プレゼント用や来客のもてなし用にもぴったりですよ。最近では、ふるさと納税でも購入することができる場合があるので利用してみるのもいいかもしれません。
また、東京のガラス工房では江戸切子の体験教室なども開催されていますので、東京・下町観光と合わせて体験してみるのもおすすめです。作品は持ち帰れるところも多いので、手作りのマイグラスを作ってみてはいかがでしょうか。
