防災備蓄として、水と食料の他に忘れてはいけないのが「非常用トイレ」。災害時に断水などで長期間ご自宅のトイレが使えなくなることが想定されます。トイレは我慢ができない生理現象ですから前もってしっかり準備しておきましょう。今回は、非常用トイレについて、防災用に何回分必要か、選び方などを含めてご紹介していきます。
非常用トイレとは
非常用トイレは、災害時に断水や建物の崩壊などで屋内のトイレが使えない緊急時に活用されるトイレです。
大きく分けて、簡易的な便座・便器がある「簡易トイレ」、ご家庭の便座などに取り付けるタイプの「携帯トイレ」、学校の校庭や避難所に設置される「仮設トイレ」、下水道のマンホールなどに設置される「マンホールトイレ」があります。今回はご家庭でも準備ができる簡易トイレ、携帯トイレについて取り上げていきます。
防災用に何回分必要?
一般的に排尿の回数は1日に5回程度と言われ、1人あたり35回分(7日分)の備蓄が必要とされています。(参照:経済産業省)
まず最低限の準備としては、1週間分を備蓄することが大事ですが、ただ、これは仮設トイレの設営など救援物資が十分に届いた場合を想定されていますので、状況により届かない、足りないケースも考慮するなら、多めに準備することをおすすめします。
例えば、東日本大震災の場合、上水、下水道管が仮復旧までに要する日数は、約1か月程度かかったそうです。(参照:日本トイレ研究所)
それを考慮するとライフラインが回復するまで、全て自分で準備するなら一人あたり約30日分(150回)必要になります。さすがにこの量を人数分備蓄するのは大変ですが、50回分・100回分などコンパクトにまとめ買いできる商品も多く、車載用やアウトドア、介護用にも利用できるものもあるため、ライフスタイルに合わせて少し余裕をもった分を準備しましょう。
非常用トイレの選び方
簡易トイレ・携帯トイレのタイプで選ぶ
災害時、耐震基準を満たしたマンションの住民の方などは、そのまま自宅で避難生活を送る「在宅避難」が想定されます。その場合には、お家のトイレの便座が使えるので、便座に取り付けるタイプの携帯トイレが簡単でおすすめ。一方、避難所生活や車中泊避難が想定される場合は、仮設トイレなどが使用できないことも考慮して、便座や便器がついた簡易トイレを準備しておきましょう。※簡易トイレには折りたたみ便座・便器などに10回分程度の凝固剤・袋が付属しているタイプもあるため、その場合は別途携帯トイレを用意しておきましょう。
吸水量と消臭・抗菌機能で選ぶ
まずは、なるべく凝固剤(高分子ポリマー)の吸水量が高いものを選びましょう。しっかり固められるほどの吸水量がないと後処理も面倒です。成人で1回の排尿量が200~400mL程度と言われていますので、それ以上の吸水量があるものはマストになります。
また、消臭や抗菌機能がついたタイプがおすすめ。排泄物をすぐに捨てられるとは限りません。においや衛生面を考えても消臭性・抗菌性のあるタイプが安心して使えます。
後処理のしやすさで選ぶ
非常用トイレは水洗トイレのように水で流せないため、トイレの後処理が必要です。そのため、使い捨て手袋も一緒についているものを選ぶのもいいでしょう。後処理で手を汚す心配もなくなります。また、汚物袋に加えて防臭袋がついてくる商品もあり、二重袋で臭いやモレの心配も減りますのでおすすめです。
非常用トイレのおすすめ3選
おすすめ 携帯トイレ
おすすめ 簡易トイレ
非常用トイレと合わせて準備したい防災グッズ
非常時のトイレに下の例のような防災グッズも必要になります。非常用トレイと一緒に備蓄しておきましょう。
- トイレットペーパー(必需品なので、普段から多めに備蓄しておきましょう)
- 目隠しポンチョ(屋外で人の目から守るために)
- 使い捨て手袋(後処理のときに手を汚さないように)
- 消臭剤(停電時は換気扇も止まり、臭いが留まってしまうため)
- 除菌ウェットティッシュ(節水時、手洗いの代わりに)
- LEDランタン(夜間、停電時に)