災害時、夜間活動するために必要なアイテムと言えば「懐中電灯」。防災グッズの中でも必需品の一つですが、機能やサイズなどバリエーションが数多くあります。今回は防災用懐中電灯の選び方や必要な数、おすすめの人気アイテムなどをご紹介いたします。
懐中電灯とは?
懐中電灯は、携帯用小型ライトのこと。地方によっては、「電池」、「棒電池」と呼ばれることもあります。ポケットやバッグに入れて持ち運びできる照明器具で、基本的には照らしたい方向、一方向を照らすのが得意。棒状タイプやハンドル付きなど握りやすい形状になっています。光源は大半がLEDライトですが、一部電球やHIDランプ(高輝度放電ランプ)などもあります。
災害時の夜間活動に必需品
夜中の地震で停電になったとき、家具が転倒していたり、食器などが割れてガラス片が散乱した中で室内を歩き回るのはとても危険です。また、夜間避難しなければいけない場合、街灯が消えていたり、倒木や地面が陥没している危険もあります。そんな時に室内や夜道を明るく照らし、災害時のリスクを軽減してくれるのが懐中電灯です。災害発生時から避難生活をおくるときにも必要不可欠ですので、しっかりと備えておきましょう。
何個必要?
防災用に懐中電灯は最低でも1人1つ必要になります。なぜかというと、1人1つでないとそれぞれが移動がしにくいからです。また、家族分用意しておけば、万が一故障していた場合も代わりになります。非常用持ち出し袋を人数分用意するときに一緒に準備しておきましょう。
防災用懐中電灯の選び方
必要になるシーンに合わせて、懐中電灯を選ぶ際にチェックしておきたいポイントをご紹介いたします。
明るさ
現在の懐中電灯はLEDライトがほとんど。LEDライトの明るさは、主に光源から放たれる光の量(光束)の単位である「ルーメン(lm)」で表され、この数値が高いほど明るくなります。
目安として、室内で手元や足元を照らしたいときには「50~100lm程度」、屋外で「50m以上先を明るく照らしたいなら200lm以上」のものを選びましょう。
ルーメンが大きいと電池や充電の消耗も激しくなり、眩しくて見えにくくなることもありますので、使用状況に合わせて選びましょう。
電源
防災用懐中電灯の電源は、複数準備することを心掛けましょう。電源が一つだと、災害時の状況によっては使えないリスクもあります。防災用の懐中電灯は、非常時にすぐ使えることが大事です。電池やモバイルバッテリーの予備を揃えたり、複数電源タイプにするなどリスク分散をして備えましょう。
電池式
電池式は、本体に乾電池を入れて使用するオーソドックスなタイプ。リーズナブルで数をそろえやすいので、家族の人数分など何個も必要であれば電池式がおすすめ。予備の電池を用意しておけば長時間の利用も可能で、他の家電と電池の種類を揃えておけば、電池を付け替えたり臨機応変に対応もできます。
デメリットとしては、電池残量が分からず、いざという時に「電池が切れてた」なんてこともありえますので、予備電池の備蓄を忘れずに。また、乾電池を入れたままにしておくと電池の消耗や液漏れする場合があるので、使わないときは外すか絶縁体(身近なものでいうとプラスチックや紙、ゴム)を挟んでおきましょう。
充電式
充電式は、コンセントやUSB電源などから内臓バッテリーに充電して使用するタイプ。基本的に一度充電すれば長時間使えて、また充電すれば繰り返し使えるので、電池式より手間もコストもかからないのがメリット。
デメリットとしては、充電できる環境が必要なことと、充電時間がかかること。
そこでおすすめなのが、「コンセントに取り付ける足元灯が懐中電灯にもなるタイプ」。これなら常に充電されている状態なので、停電時にもすぐ使えます。また電池式・充電式どちらも使える「両用タイプ」も、状況に応じて切り替えられるのでおすすめです。
手回し充電式
手回し充電式は、手動でハンドルを回して充電するタイプ。電源が用意できない場合に短時間使うのに向いています。どんな状況でも自分で充電して使えるのが最大のメリットです。
デメリットは、なんといっても充電の大変さ。ものにも寄りますが、1分間回して5〜10分使える程度なので、長時間使いたい場合は何分も回さないといけません。
ですので、手回し充電式を選ぶ場合は、電池式やUSB充電など他の電源との両用タイプがおすすめ。通常は電池などを使いつつ、手回し充電は、万が一電池や充電が切れてしまった時のサブ電源として利用できると安心でします。
ソーラー充電式
ソーラー充電式は、太陽光で充電するタイプ。電源が太陽なので、日の当たるところであればどこでも置いておくだけで充電できることと、懐中電灯を使わない日中に充電しておけるのがメリット。
デメリットとしては、発電量が天候に左右されることと、充電時間がとても長いこと。
そのため、ソーラー充電式も手回し充電式と同じようにサブ電源として使えるような電池式やUSB充電との両用タイプを選びましょう。よく晴れた日はソーラー充電で充電して、乾電池を節約するなど有効活用ができます。
多機能性
防災用の懐中電灯には、様々な機能を備えているタイプが数多くあります。避難生活を過ごすうえで、情報源となる防災ラジオやテレビ付き、スマホ充電ができたり、防犯ブザー付きなどとても便利です。また、個別で揃えるよりもコストがかからず、場所も取らないので魅力的です。
ただ、基本的に機能が多いほどサイズが大きく重くなるため、避難時に使う懐中電灯の場合は、シンプルな小型ライトのほうが持ちやすく使いやすいので、利用シーンを想定して選びましょう。
サイズと重さ
避難時に使用する懐中電灯は、ポケットや防災バッグに入れることが前提となるので、小さくて軽い、かさばらないものが持ち運びしやすくおすすめです。ポケットサイズなら長さ15cm程度まで、防災バッグに入れるなら20cm程度まで、重さは150g程度であれば比較的軽めで、長時間の利用にも向いています。在宅避難などでお家の中で使用する場合には、大きい方が持ちやすかったり、機能性を優先した方が使い勝手が良いケースもありますので、想定される状況に合わせて選びましょう。
点灯時間
災害時には、長時間連続で使用することが想定されるため「最大点灯時間」をチェックしておきましょう。目安として一回の充電・電池で8時間以上連続使用可能かどうか。この長さならひと晩は使えますので非常時でも安心できます。また、調光機能があるタイプだと電池消費量を抑えながらより長く使用することもできるのでおすすめです。
防水・防塵性能
大雨や浸水、土埃の中での避難が想定される場合は、防水性・防塵性をチェックしましょう。
電気製品の防水・防塵性能は「IP〇〇」といったIPコードで表記されます。IPの文字に2桁数字が続き、前の数字が防塵性能、後ろの数字が防水性能を表します。例えば「IP54」と表記されている場合は、その製品が5級の防塵性能、4級の防水性能を示します。また、片方の性能を表記するときには、省略される等級をXで表し「IP6X」や「IPX5」といった形で表記されます。
防災用懐中電灯であれば、防塵性能は一番上の「IP6X」、防水性能は雨の中での使用を想定するなら「IPX5」以上、水没まで考慮するなら「IPX7」以上を目安としましょう。特に海沿い、川沿いなどの台風や水害のリスクが想定される地域にお住まいの方はチェックしてみてください。
照射・点灯モード
複数の照射・点灯モードがあると状況に応じて使い分けができ便利です。例えば、近くの広い範囲を照らせる「広角(広範囲)」モード。懐中電灯は一方向を照らすものなので、人が近くにいても照らす方向が違えば気付けないこともあります。広範囲を照らせる広角モードがあれば、人や障害物を見逃すリスクも軽減できるのでおすすめです。また、「点滅」モードも非常時、居場所を伝えるのに役立ちます。
1台2役!ランタン兼用タイプ
防災用懐中電灯には、ランタンにもなる兼用タイプ(2way)があります。ランタン兼用タイプは、「移動時は懐中電灯、部屋に入ったらランタン」と使い分けられるので、移動先の部屋に非常用の照明がない場合に役に立ちます。サイズはやや大きくなってしまいますが、使い勝手が良いのでおすすめです。
おすすめの防災用LED懐中電灯
在宅避難や避難所生活にはこちらがおすすめ!
とにかく明るい&長持ち&使いやすい。
LEDランタンと懐中電灯の2WAYタイプ。約800lmと明るく、なんと最大連続で62日間も使用可能。4段階調光機能付きでタッチセンサーで簡単操作ができます。
明るさ(約):4-800lm
電源:単1形乾電池×1本
点灯時間(約):8-1500時間(エボルタNEO使用時)
照射距離(約):-
防水・防塵性能:IPX2(防滴仕様)
本体サイズ(約):160×110×175mm
本体質量(約):-
同シリーズのモバイルバッテリー機能などが搭載された「多機能でかランタン」もおすすめ!
屋外での利用にはこちらがおすすめ!
最近は街灯も多く、夜間も明るいことが当たり前になっているので、突然停電になると、思ったよりも暗いことにびっくりします。災害時、真っ暗な中で月明りを頼りに避難するのは大変ですから、防災用の懐中電灯は前もってしっかり準備しておきましょう。