防災用品の中でも必需品の保存水。長期保存が可能なことが特長ですが、普通の水とはどう違うのでしょうか。今回は、保存水と普通の水との違いや防災用としてどれだけ備蓄しておけばいいのか、選び方など分かりやすく解説・ご紹介いたします。
保存水と普通の水との違い
長期保存水とペットボトル入りのミネラルウォーターとの違いは、主にペットボトルの構造にあります。
ペットボトルには通気性あるため、一般的なペットボトル入りの水は、時間の経過とともにペットボトルの小さな穴から水が蒸発していき、容量が少しずつ減っていきます。
表示容量から2%が減ってしまうと、計量法違反となることから、2年程度の賞味期限が表示されています。
保存水に使用されるペットボトルは厚みがあり、小さな穴が少ないため、水が蒸発しにくく賞味期限が長く表示できるということです。中身の水は、防腐剤など体に悪いものが入ってるわけではなく、保存水もミネラルウォーターも同じです。
備蓄はどのくらい必要?
防災用の保存水は、一人あたり1日3リットル×3日分から1週間分の備蓄が必要とされています。(参照:農林水産省)
飲料用と調理用で9~21リットル程度なので、一人分でも2L×6本入りが1~2ケース必要になります。家族がいる場合は、人数分用意する必要がありますから結構な量になりますね。生活していく上で欠かせない水分、「あって困ることはない」モノなので、予めまとめ買いするなどして災害にしっかり備えましょう。
長期保存水の選び方
買い替えの手間を考えるなら保存期間は10年以上
市販されている保存水は5年~15年ほどの保存期間になりますが、長期間備蓄用として保管できるのであれば、10年以上保存可能なものがおすすめ。保管場所がとれるのなら、なるべく長い期間ストックできると買い替えのコストも少なく手間もかからないので楽ですね。
値段と保管スペースを考慮するなら2L、使いやすさは500ml
保存水は備蓄に必要な量が多いので、けっこう場所を取ります。保管スペースをあまり広く取りたくないなら2リットルペットボトルをケースでまとめ買いするのがいいでしょう。2リットルタイプなら500mlよりも本数が少なく、省スペースになります。また2Lタイプの方が500mlよりも安い値段で購入できます。
注意したいのは、一度開封したらなるべく早く消費する必要があること。500mlのほうが飲み切るのも早く、そのまま飲めるので衛生面でも使いやすさの面でもよかったりします。また500mlなら防災バッグや車載用として小分けにするのにも便利なので、ご家族などの状況に合わせて準備しましょう。
ローリングストックも意識しよう
「ローリングストック」は、普段から少し多めに食品や水を買っておき、賞味期限が古いものから食べたら食べた分だけ買い足し、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法です。
ローリングストックができるなら、普通のミネラルウォーターを多めに備蓄しておき、使った分を買い足していく形でも防災対策になります。(例えば、一人分で2リットル6本ケースを2箱備蓄しておき、一箱使い切ったら補充していくなど)
ただ日頃から意識してしておかないと、「買い忘れた」「備蓄がなくなった」なんてこともありますし、サイクルが短いと負担になることもあります。無理せず、それぞれのライフスタイルに合わせてやりやすい防災対策をしましょう。
おすすめの長期保存水
保管場所はどこがいい?
保存水の保管場所は、まず直射日光や高温多湿な場所は避け、涼しい場所で保管しましょう。また、においの強いものの近くに置くと臭いが移る可能性があるので置かないようにしましょう。
廊下などの目につきやすく、持ち出しやすいところもおすすめ(ただ、避難経路は避ける)。また、災害にあった際、建物が倒壊して備蓄が全滅してしまわないように分散させて保管しましょう。例えば二階建てであれば1階、2階に分けたり、寝室や各部屋ごとに分けたりしましょう。
保存水はケース単位の備蓄量になるので保管スペースがない、なんて方もいるかと思います。そんなお悩みがある方は、トランクルームを活用するのもおすすめです。
トランクルームは、レンタルで収納スペースが利用できるサービスで、自宅外への分散備蓄に向いています。その場合は、湿気や気温の変化が少ない空調完備のトランクルームがおすすめです。
賞味期限がきれても捨てないで!保存水の有効活用
万が一、保存水の賞味期限が過ぎてしまった場合も、すぐに処分するのは待ちましょう。本来、水は不純物が混ざらなければ、腐ることはありません。また保存水の場合、多くが殺菌処理をしているため品質の劣化が起こりにくいことから、賞味期限を過ぎても一律に飲めなくなるものではありません。
ただ賞味期限切れの水を飲むのはちょっと不安ですよね。
その場合は、防災用の生活用水として備蓄しておくのも一つの手です。生活用水は、一人当たり一日10L~20L程度必要とされるので、飲用や調理用として使わなくとも手洗いや食器洗い、トイレなどに活用することができます。ウォータータンクなどで生活用水を準備していないようであれば、賞味期限切れの保存水を活用するのも一つの防災対策になりますので、捨てる前に有効活用できないか確認しましょう。