いざという時のために備えて、非常食の備蓄は重要ですよね。災害発生時には、ライフラインが寸断し、物流が停止してしまうおそれがあります。救援物資の配給やライフラインの復旧まで生活するためには食料と水がかかせません。今回は、非常食の備蓄はどれくらい必要なのか、選び方や人気のおすすめアイテムも合わせてご紹介いたします。
災害発生時にはライフラインが長期間寸断される可能性がある
台風や大雨、地震などの災害が発生すると、建物の倒壊や破損、浸水などの直接被害だけでなく、電気や水道、ガスなどのライフラインが寸断され、橋や道路が崩壊し、物流も途絶えてしまう可能性があります。首都直下地震が起こった場合、ライフラインが復旧するまでの日数は、以下のように想定されています。(参照:東京都防災ホームページ、内閣府防災情報)
- 電気は約1週間(計画停電が実施される可能性はあり)
- 上下水道で約1か月
- ガスは約6週間
そして、災害発生から3日間(72時間)は人命救助が最優先されますので、物資の配給が届きだすのはおおむね4日目以降、被災地域が広範囲に及ぶ大災害の場合には1週間以上かかる場合もあります。被災後、すぐに十分な物資が配給されるとは限りませんし、ライフラインがすぐに復旧できるとも限りません。いざという時のために、今からしっかりと食料や水などを備蓄して準備しておきましょう。
非常食は何日分必要?どのくらいの量なの?
防災用に備えて、非常食はどのくらい用意しておけばよいのでしょうか。農林水産省では、「最低でも3日分、できれば1週間分の食料品と水」を用意しておくことを推奨しています。(参照:農林水産省)また、南海トラフ巨大地震対策の場合は、非常に広い地域に甚大な被害が及ぶことが想定されるため、「1週間分以上」の備蓄が望ましいと言われることもあります。
この目安は、国や自治体からの支援が届くのが災害発生から4日目以降になると想定した量になります。災害の規模や状況により支援物資が十分に届かない可能性もあるので、この目安よりも余裕を持って備蓄しておきましょう。
では、実際どれぐらいの量になるのでしょうか。
農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」では、1週間分/大人2人の場合、下の例のような家庭備蓄が必要とされています。
必需品
- 水…2L×6本×4箱(※1人1日約3L=飲料水+調理用水)
- カセットコンロ…カセットボンベ12本(※1人1週間で6本程度)
主食(エネルギー・炭水化物)
- 米:2kg×2袋(※1人1食75g程度)
- カップ麺類:6個
- 乾麺(うどん、そば、そうめん、パスタ):そうめん300g×2袋、パスタ600g×2袋
- パックごはん:6個
- その他:LL牛乳、シリアルなど
主菜(タンパク質)
- レトルト食品:牛丼の素、カレーなど18個、パスタソース6個
- 肉や魚の缶詰:好みのもの18缶
- 日持ちする野菜…玉ねぎ、じゃがいもなど
副菜・その他
- 梅干し、のり、乾燥わかめなど
- 野菜ジュース、果汁ジュースなど
- 調味料…砂糖、塩、しょうゆ、めんつゆなど
- インスタント味噌汁、即席スープなど ・チョコレート、ビスケットなどお菓子類
この備蓄例は、すべて非常用の備蓄食品として準備するものというわけではなく、災害時の備えとして用意する「非常食」と普段から使用し災害時にも使える「日常食品」をうまく組み合わせて備蓄する(ローリングストック)内容になっています。また、冷蔵庫が使用できないことを想定し、すべて常温保存可能な食品で熱源はカセットコンロを使うことを前提としています。
目安としては「主食+主菜+副菜で9食~21食」(+水・お菓子・嗜好品)
カセットコンロなどの熱源を用意できない場合は、水を注ぐだけで食べられるご飯(アルファ化米、フリーズドライごはんなど)や調理不要でそのまま食べられるパン缶やレトルト食品などがありますので、そちらを備蓄しておきましょう。
非常食の選び方
栄養が偏らないようにバランスよく
被災時には、お腹を満たすために主食(エネルギー・炭水化物)が中心となりがちです。そんな食生活が続くと、体調不良や病気になる可能性もあるため、栄養バランスが偏らないように、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維をしっかりとれるように準備しておきましょう。
- タンパク質の補給:お肉やお魚・豆の缶詰、レトルト食品、鰹節や煮干し・おつまみ小魚などの乾物など
- ビタミン・ミネラル・食物繊維の補給:野菜の缶詰、インスタント味噌汁・スープ、野菜ジュース、梅干しなどの漬物、切干大根やわかめなどの乾物など
- ビタミン・ミネラルの補給を補うものとしては果物もおすすめ。果物の缶詰、果物ジュース、ドライフルーツなど
- カルシウム不足を補うためには、粉チーズ・スキムミルクなどの乳製品
いろんな栄養素を考慮して準備することが難しい場合は、サプリメントで補う方法もあります。サプリメントなら場所も取らず持ち運びもしやすく長期保存も簡単ですね。
常温で長期保存できるもの
災害時には、停電で冷蔵庫が使えないことがありますから、非常食は常温で長期保存できるものを選びましょう。例としては、インスタント食品・レトルト食品・缶詰・乾物などが挙げられます。また、パスタ・そうめんなどの乾麺、お米・切り餅(個包装)、じゃがいも・玉ねぎ・里芋などの根菜は、普段から使える日持ちする食品なので、日常的にストックしておきましょう。
好きなもの・馴染みのあるもの
非常時には、災害に対する不安や恐怖、慣れない状況でのストレスで体や心に負担がかかります。普段から食べている馴染みのあるものであれば、食欲がなくても食べやすいですし、安心感にもつながります。
また、お菓子や甘いもの、嗜好品などは癒しや楽しみになりますし、子供も喜びます。ホッと気持ちを落ち着けたいとき、気分転換したいときに役に立ちますのでこちらも用意しておくのがおすすめです。
ローリングストック法
防災備蓄の方法として「ローリングストック法」がよく挙げられます。「ローリングストック法」は、備蓄食料を日常生活で消費しながら、食べた分は買い足し、常に一定量の食品を備蓄していく方法です。
食べ慣れているものを非常食として利用でき、備蓄食料の保管場所がない場合にも役立ちます。また、備蓄食料の消費期限切れの予防にもつながります。
ただ実際やろうとすると大変で備蓄管理が難しいこともあります。食品によって賞味期限が違い、消費量や消費スピードもそれぞれ違うので、コントロールができなかったり、また多めに備蓄することで消費が多くなってしまうなんてことも。
ですので、管理しやすいように普段からよく食べるものだけに絞ったり、無理せずライフスタイルに合わせて取り入れるか考えましょう。
おすすめの非常食
非常食などの防災グッズは、地震や大雨などの災害発生直後、注文が殺到し売り切れになる場合が多々あります。「そうだ!準備しなきゃ!」とその時思っても手に入れるのが難しいため、予め事前に準備しておきましょう。
主食
主菜
副菜・その他
保管場所はどこがいい?
非常食の保管場所は、「持ち出し用」は取り出しやすい玄関周りの収納スペース、「備蓄用」はキッチンやクローゼット、屋外の物置がおすすめです。直射日光や気温差が激しい場所、湿気が多い場所は避けましょう。
また、二か所以上に分散させて保管するのも一つの手です。一か所にまとめた場合、被災した際に自宅が倒壊して取り出せない可能性もありますので、例えば一軒家であれば1階、2階に分けたり、寝室や各部屋ごとに分けたりしましょう。
保管スペースがない、そんなお悩みがある方は、トランクルームを活用するのもおすすめです。
トランクルームは、レンタルで収納スペースが利用できるサービスで、自宅外への分散備蓄に向いています。その場合は、湿気や気温の変化が少ない空調完備のトランクルームがおすすめです。
非常食と合わせて熱源を準備しよう
災害時には、温かい食べ物が食べられるように熱源は必ず用意しておきましょう。一般的に推奨されるのはカセットコンロ。コンロ本体も燃料も手に入りやすく、コストも比較的かからないのでおすすめです。
他には食品加熱袋。加熱袋に水を入れるだけで簡単に食材を温められ、火や電気が使えない時に役に立ちます。ただ1回あたりのコストは高いので、他のものと併用するようにしましょう。
また、ライフラインの中でも電気の復旧は早いため、電気ケトルやIH調理器などのキッチン家電
もおすすめ。普段使いはもちろん、災害時にも役に立ちます。カセットコンロの場合は、非常時にはガスボンベがすぐに店頭から消えてしまいますので、燃料の予備が足りなくなることもありえます。長期間の避難生活を考えるとキッチン家電も併用できるように準備しておきましょう。